-Protocol-
免疫組織染色法
《一般的注意》
*生材料およびパラフィン材料の水和以降は、全ての反応過程で、切片を乾燥させては絶対にいけない。
*最初は、内因性(なければ別の)の陽性コントロールと陰性コントロール(1次抗体を抜いたもの)を必ず作ること。
*下記の方法は一般的なもので、各条件は抗体により、微妙に異なる。
*最近ではより高感度な変法が多数ある。
《染色手順》
1.切片作成まで
<生標本の場合>
a) ティッシュテックに包埋した材料を、クリオスタットで薄切する。培養細胞の場合はそ
のまま固定する。
b) 固定する。固定液は抗体によって異なる。通常は、4%PFA, Methanol,
Ethanolなど
が一般的。
<パラフィン標本の場合>
a) 湯のばし法(45度以下)で、パラフィン切片をコーテングスライド上にのせる。
b) 十分に乾燥。
c) 脱パラフィン;キシレンの1~4槽、15分ずつ
d) エタノールアルコール;1~4槽、5分ずつ
(最終槽は、奇麗なアルコールを用いる)
e) DulbeccoのPBSに5分間入れ、水和する。
2.前処理
<内因性ペルオキシダーゼやビオチンのブロック>
a) ブロック
*内因性ペルオキシダーゼのブロック
0.3%H2O2加メタノール(100%) 1時間(30分でも可)
(市販の過酸化水素水(30%)をMethanolで100倍に)
**内因性ビオチン活性のある組織(肝etc)では、アビジン・ビオチン溶液で、内因
性ビオチンのブロック処理をする。
b) 蒸留水かPBSで、水洗。
c) DulbeccoのPBSに5分
<賦活処理>
*酵素を用いる方法:
0.05% Ptoteinase K、0.1%ペプシン(0.5M酢酸)、0.4%ペプシン(0.01N HCl)、 1%トリ
プシン(PBS) 又はHyaluronidase 25mg/ml PBSなどを数滴滴下し、温室にて20〜60
分間反応させる。
*マイクロウエーブを使う方法:
1) 500mLガラスビーカーにスライドと10mM クエン酸バッファ(pH6.0)を入れ、ア
ルミホイルでふたをし、”調理(電子レンジ強)”で 沸騰するまで加熱する。
2) 沸騰後、更に加熱し5分間沸騰させる。
3)1時間ほどかけて徐冷する。※急冷しないこと。
*オートクレーブを用いる方法:
500mLガラスビーカーにスライドと10mM クエン酸バッファ(pH6.0)を入れ、アルミ
ホイルでふたをし、、加熱条件を120℃、10分間とする。
<非特異的反応のブロック>
余分のPBSを拭って、5%BSA(Bovine serum albmin)加PBSにて処理。
(室温、1時間)
本来は、2次抗体に用いる動物の血清を加えたものを使用
3.1次抗体の反応
a) 5%BSA加PBSを洗わずに拭って、1次抗体を盛る。(100μlずつ)
1次抗体は、5%BSA加PBSで薄める。
希釈濃度は、濃度は1次抗体の種類によって異なる。
b) 室温で2−3時間反応。あるいは、4℃で一晩反応させる。
c) 抗体溶液をPBSで洗い流した後、PBSで5分ずつ、4回洗う。
(ユプリンジャーにつければよい。)
d) 直接法の場合は、1次抗体にビオチン、perioxidase, polymerなどが直接、1次抗体にラ
ベルされているので、このまま、視覚化の行程へ行く。
4.2次抗体の反応
a) ビオチン、perioxidase, polymer (Envision)などがラベルされた2次抗体(5%BSA加PBS
で100-200倍に希釈)を室温で1時間反応。
b) PBSで洗う。(10分×4回)
5.視覚化
a) 抗体にラベルされたものが、
*ビオチンであれば、ペルキシオキターゼ標識ストレプトアビジンを反応させる。
*Perioxidaseやpolymer (Envision)であれば、直接、3.の行程へ。
*Perioxidaseの場合は、ビオチンなどの標識タイラマイドを使う高感度法もあり。
b) PBSで洗う。
c) DAB reaction(発がん性があるので、素手で触れない。)
Diaminobenzidin 4HCl (ドータイド製) 20mg
PH7.4 0.05M Tris-Tris HCl buffer 75ml
H2O2(30%) 20μl
上記溶液に5〜10分漬ける。反応態度をみながらよいところで止める。
(反応時間を長くするときは、光を避けて冷蔵庫中で、20分以上)
d) 水洗
*発色の色は、青、赤などに変えることが可能。
6.後染と封入
a) 後染色
モノクロ用:メチルグリーン核染色
カラー用:ヘマトキシリン核染色
b) 脱水、透徹、封入。
《染色のBack Groundをおさえる為の工夫》
以下のいずれかを行う。
a)Tween-20などの非イオン性界面活性剤を最終濃度が0.1%になるように加える。
b)スキムミルクを最終濃度が5〜10%になるように加える。
c)NaClの最終濃度を0.3〜0.5Mにあげる。
<注意>
Tween-20はパーオキシダーゼの反応を阻害し、また、スキムミルクがアビジンとビオチンの結合を阻害するおそれがありますのでHRP標識アビジンの反応前にはTween-20およびスキムミルクを加えないで緩衝液で5分間×2回の洗浄を行ってください。
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