<診断アプローチ>
1)
細胞像のポイント:
a)
構造的所見;
構造; 重積性は軽度の敷石状構造.
細胞密度/分布; 中程度の細胞数+中程度の細胞密度+比較的規則的な細胞配列.
b)
細胞的所見;
分化; 中心核+角化.
異型性; @核腫大, AN/C比増大(60-80%程度),Bクロマチン増大,
C立体核形不整.
c)
背景; 清澄性.
2)
総論的推定:
a) 細胞由来; 扁平上皮細胞由来.
b) 細胞増殖性; 規則的で中程度の強さの細胞増殖性病変.
c) 細胞異型; 軽度
d)病変の構築; 細胞性
以上より,過形成/再生あるいは扁平上皮内腫瘍が示唆される.
第一診断は中等度異形成で,鑑別診断は反応性異型と
その他の異形成.
3)
各論的推定:
a) 推定疾患; Moderate dysplasia
b) 診断基準;
i) 主診断基準
@ 核腫大,N/C比増大,クロマチン増大,立体核形不整の全てが
揃っており,異形成以上の病変.
A 多彩性に乏しく,N/C比が60-80%程度である.
ii) 副診断基準
壊死を認めない.
4)
鑑別診断
a)
反応性異型; 核腫大,N/C比増大,クロマチン増大,立体核形不整の全てが揃っているので,反応性異型は否定的.
b)
軽度異形成および高度異形成; N/C比で鑑別.
<最終診断>
Uterine cervix; Moderate
dysplasia.
*診断クルー
@核腫大,N/C比増大,クロマチン増大,立体核形不整の全てが揃った異型扁平上皮細胞
A多彩性に乏しく,N/C比が60-80%程度.
<解説>
子宮頸部における扁平上皮病変では,核腫大,N/C比増大,クロマチン増大,立体核形不整を示す細胞を異型扁平上皮細胞と定義する.所見が全て揃った異型細胞は,異形成以上の病変を示唆し,異形成の程度はN/C比で判定する.細胞の多彩性や壊死がみられ時は浸潤癌の可能性を考える必要がある.
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