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C_Case3

Acinic cell carcinoma, papillary cystic variant

40代女性,耳下腺(穿刺細胞診標本)

 

<診断アプローチ>

1)    細胞像のポイント: 

a)    構造的所見; 

構造; 重積性が強い管状および乳頭状構造.

細胞密度/分布; 多い細胞数+高度の細胞密度+不規則的な平面的・立体的細胞配列.

b)    細胞的所見; 

分化; 中心核+泡沫状空胞を示す細胞質.

異型性; @核腫大, AN/C比増大,Bクロマチン増大,

     C立体核形不整.D核小体腫大.

c)    背景; 清澄性.

2)    総論的推定: 

a)    細胞由来; 腺上皮細胞由来.筋上皮細胞への分化なし.

b)    細胞増殖性; 不規則的で高度の強さの細胞増殖性病変.

c)    細胞異型; 中等度から高度

d)病変の構築; 細胞性

以上より,悪性腺上皮腫瘍(腺癌)で,鑑別診断は組織亜型

3)    各論的推定: 

a)    推定疾患; Acinic cell carcinoma

b)    診断基準;

  i) 主診断基準 (B以外が該当)
  @ 不規則重積性を示す異型細胞
  A
細胞異型が中等度以上
  B acinic cellへの分化
  C 細胞質内の微細空胞
ii) 副診断基準

    壊死性背景

4)    鑑別診断

その他の腺癌; 腺房細胞や微細空胞がないと鑑別は困難である.

<最終診断>

Salivary gland; Acinic cell carcinoma, papillary cystic variant.

*診断クルー

  @腺上皮型細胞の不規則的で高度の強さの細胞増殖性病変.

  A細胞質内の微細空胞

<解説>

 Acinic cell carcinoma, papillary-cystic variantでは,介在導管上皮型細胞,分化の不明な腺上皮細胞,淡明細胞および空胞細胞が様々な割合で混在している.腺房型細胞への分化が不明瞭なために診断に苦慮する症例が少なくない.その場合は,細胞質内の微細空胞の存在が診断のクルーとなる(組織症例H_Case2参照).空胞の大きさや数は細胞によって多彩である.


和歌山県立医科大学人体病理学教室

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