<診断アプローチ>
1)
細胞像のポイント:
a)
構造的所見;
i)
構造; 敷石状および孤立散在性.
ii)
細胞密度/分布; 高い細胞数+中程度の細胞密度+比較的規則的な細胞分布.
b)
細胞的所見;
i)
分化; @類上皮細胞集塊, A渦巻状の配列,B紡錘形細胞の混在.
異型性; @核腫大, AN/C比増大(80%程度),Bクロマチン増大,C立体核形不整.
c)
背景; 清澄性.
2)
総論的推定:
a) 細胞由来; 非上皮性細胞由来.
b)
細胞増殖性; 規則的で強い増殖性病変.
c) 細胞異型; 軽度
d)病変の構築; 細胞性
以上より,類上皮細胞型の良性非上皮性腫瘍が示唆される.
第一診断は髄膜腫,鑑別診断は,血管外皮腫,神経鞘腫.
3)
各論的推定:
a) 推定疾患; 髄膜腫
b) 診断基準;
i) 主診断基準
@ 類上皮様細胞集塊
A 渦巻状の配列(髄膜腫を強く示唆)
ii) 副診断基準
石灰化小体
4)
鑑別診断
a)
Hemaniopericytoma(血管外皮腫);
近年ではsolitary fibrous tumorと一連の境界悪性腫瘍と考えられている.紡錘形細胞腫瘍の形態を示す.髄膜に発生することがある.渦巻状の類上皮細胞配列は伴わない.鑑別にはCD34などの免疫染色が有用である.
b)
Swannnoma(神経鞘腫); シュワン細胞由来の良性腫瘍.紡錘形細胞腫瘍の形態を示す.渦巻状の類上皮細胞配列は伴わない.
<最終診断>
Meningioma, meningothelial
type(髄膜腫,髄膜皮性型).
@類上皮細胞型非上皮性細胞の規則的で強い増殖性病変.
A渦巻状の配列.
<解説>
髄膜由来の非上皮性良性腫瘍.紡錘形細胞から類上皮細胞まで多彩な組織像を呈し,髄膜皮性型,線維性型,移行性型など15種類もの亜型が存在する.砂粒体(psammoma body)を伴うものもある.細胞診では,脳内腫瘍で,類上皮細胞型や紡錘形細胞型の良性腫瘍細胞をみたときには髄膜腫をまず鑑別に挙げる.渦巻状の配列があれば,確定診断が可能である.
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