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C_Case14

bronchioloalveolar carcinoma

50代女性,肺(喀痰標本)

 

 

<診断アプローチ>

1)    細胞像のポイント: 

a)    構造的所見; 

構造; 乳頭状および敷石状細胞集団.

細胞密度/分布; 軽度から中等度の密度で,比較的規則的配列.

b)    細胞的所見; 

分化; 粘液を含む細胞質.

異型性; @核腫大軽度, AN/C比軽度大,Bクロマチン軽度増大.

c)    背景; 清.

2)    総論的推定: 

a)    細胞由来; 腺上皮由来.

b)    細胞増殖性; 比較的規則的で軽度から中等度の強さの細胞増殖性病変.

c)    細胞異型; 軽度

d)    病変の構築・質の推定; 細胞性病変.

以上より,第一診断=高分化型腺癌,鑑別診断=反応性腺上皮

3)    各論的推定: 

a)    推定疾患; adenocarcinoma

b)    診断基準; 

以下の主診断基準の@Aと副診断基準の@Aを認める.

i)  主診断基準(以下の中で@Aを認める)    

@   立体的は配列の乱れを示す乳頭状あるいは管状構造, 

A   細胞異型は弱い(細胞密度が軽度に高い,核形不整,クロマチン増量),

ii) 副診断基準(以下の中で@Aを認める.)

@    粘液をもつ,A乳頭状集塊での極性をもった細胞配列(敷石状集塊では規則的な核配列),Bハローを持つ核小体

c)    鑑別診断; 

反応性腺上皮; 核異型に乏しく,むしろ核の配列が乱れている.

 

<最終診断>

Lung; bronchioloalveolar carcinoma.

*診断クルー

核極性を保つ配列を示す軽度異型腺上皮.

 

<解説>

 腺癌,特に高分化な腺癌はN/C比が低いため,良悪性鑑別に苦慮することが少なくない.N/C比の低い腺癌の診断には,立体的な核配列の乱れと核異型の評価がポイントとなる.特にbronchioloalveolar carcinomaは細胞異型が乏しいために,反応性上皮との鑑別には,軽度の核異型を正確に評価することが重要である.この際,皺のような核形不整に注目する.少数でもハローを伴う核小体が無いかは丁寧に観察する.また,細胞集団における核配列は,反応性異型の方がbronchioloalveolar carcinomaよりも乱れてていることが多いことに留意する必要がある.すなわち,bronchioloalveolar carcinomaでは,乳頭状集塊では極性をもった細胞配列,敷石状集塊では規則的な核配列を示すことがある.

 

 

 

和歌山県立医科大学人体病理学教室

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