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C_Case12

Osteosarcoma

10代男性,大腿骨(腫瘤タッチ標本)

 

<診断アプローチ>

1)    細胞像のポイント: 

a)    構造的所見; 

構造; 集合性および孤立散在性出現.

細胞密度/分布; 比較的細胞数は多い.

b)    細胞的所見; 

分化; 偏在核+薄い〜やや厚い細胞質.

異型性; @核腫大高度+大小不同, AN/C比軽度増大,Bクロマチン増大.

c)    背景; 基質産生あり.破骨細胞を伴っている(右図)

2)    総論的推定: 

a)    細胞由来; 集合しているが細胞接着性に乏しく、非上皮性細胞由来疑い.

b)    細胞増殖性; 不規則的で高度の強さの細胞増殖性病変.

c)    細胞異型; 強い

d)    病変の構築・質の推定; 基質(類骨)産生性病変.

以上より,類骨形成性の高異型度悪性腫瘍と推定される

3)    各論的推定: 

a)    推定疾患; Osteosarcoma 

b)    診断基準; @悪性非上皮性腫瘍,A類骨と思われる基質産生

c)    鑑別診断; 

@   類骨腫; 細胞異型は伴わず,形質細胞類似の骨芽細胞様腫瘍細胞が出現する.

A   その他の悪性骨腫瘍; 類骨を認めない場合は鑑別困難である.

<最終診断>

Bone; Osteosarcoma.

*診断クルー

類骨と思われる基質産生性悪性腫瘍.

 

<解説>

 骨における非上皮性腫瘍を考える場合は,細胞の形態と基質産生の有無からアプローチする.細胞形態は,紡錘形細胞,円形細胞,多形細胞,類上皮細胞,多核細胞,その他に分類する.次に,基質産生,すなわち,類骨や軟骨の産生がないかをみる.良悪性は,細胞数,核異型,核分裂像および壊死の有無が鑑別ポイントである.本症例は,類骨基質産生性の多形細胞悪性腫瘍である.骨肉腫の定義は腫瘍性類骨を形成する骨原発性悪性腫瘍であるので,本症例は骨肉腫と診断可能である.しかしながら,一般的に類骨の量は腫瘍のよって多彩であり,類骨が少ない症例の場合は診断も困難になる.そのような症例では,年齢,発生部位と臨床画像所見を参考に骨肉腫の臨床診断があれば,骨肉腫に矛盾しない像であるか否かによって推定するほかない.なお,骨腫瘍では転移性上皮腫瘍が,原発性腫瘍では多発性骨髄腫が最も多いことから,必ず鑑別に上げることを忘れてはいけない.

 

 

和歌山県立医科大学人体病理学教室

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